だまし絵 (Visual Deception)

Cosmo-kun2009-10-10

朝、親から電話がかかってきて、「今から『だまし絵』展を観に、近くの美術館まで行くけど来る?」ということで、娘をたたき起し、美術館に向かう。 名前は聞いたことがあるアルチンボルトの、四季の果物や野菜、穀物を巧みに組み合わせて描かれた「ウェルトゥムヌス(ルドルフ二世)」に迎えられ、いざ中へ。

   
いやあ、おもしろい。 トリックアートの一部なのだろうけど、だまし続けられず、ハッと気づくのがいい。 個人的に一番すごかったのが、パトリック・ヒューズの「水の都(Venice Observed)」。 こちらからの視点の移動に合わせて絵が動き出す。 デモが彼のサイトで見られる(link)。 2次元の絵で3次元を表現するのがほとんどの中、3次元を使って2次元の絵のように見せ、さらにそれが動くように見えるのがすごい。


途中、ソファで図録を眺めていると、だまし絵の歴史は古く、古代ローマ博物学プリニウスが書いた「博物誌」の中のエピソードが紹介されていた。 古代ギリシャの画家ゼウクシスとライバルのパラシオスが写実の力を競うためブドウを描いた時、ゼウクシスの描いた絵に、ブドウを本物だと思った鳥が飛んできた。 それを見たゼウクシスは自らの勝利を確信し、パラシオスに、彼の絵にかかっているカーテンを開けて絵を見せるように言った。 ところが、実は、カーテンは本物ではなく絵に描かれたものだった、という大どんでん返し。 ゼウクシスは、画家の自分の眼もだましたパラシオスの絵は自分に勝るとして、パラシオスに勝利を譲ったというお話。 


なんか、子どものころに聞いた昔話で、ねずみの彫り物を競った名工とほら吹きの話を思い出した。 名工が腕によりをかけ金色色に磨き上げた立派なネズミの彫り物を持ってきたのに対し、ほら吹きは、ずっと何もせず遊びふけり、ようやく前日の夜になって一晩で彫った小汚いネズミをもってきた。 人々が、これは名工の圧勝だろうと口々に言いだす中、お屋敷の猫がひょっこりやってきて、小汚いネズミをひょいと咥えるとそのまま行ってしまう。 それをみたお大尽は、ほら吹きに勝利を言い渡すという、こちらは人間ではなく動物の眼力を称えるお話。 記憶が怪しいので、ググってみたら、似ている話はあったが、勝因が鰹節で作ったからという、私の知らない理由だった。 これもおもしろい。


すがすがしい天気の中、ゆっくりと歩いて、おじいちゃんとおばあちゃんを駅まで見送る。 お誘いありがとう。 その後、JRの駅までもうひと歩き。 もう一人のおばあちゃんの家に行く娘と、途中の駅でバイバイをし、そこから家まで歩く。 果たして、やったね、今日も2万歩越え。


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